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2026年10月6日 · 約5分

英国で、就職のつまずきは12歳の孤立から始まる?

「寂しい」と感じれば、人を求めて孤立から抜ける——その自然な回復は確認されなかった。若者の就職問題を6年前から見る研究。

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A contemplative child rests on a desk in a quiet classroom setting.

「友達が少ない」は、就職の話なのか

昼休み。教室には人がいるのに、いつも一人で過ごす12歳がいる。本人は必ずしも「寂しい」とは言わない。むしろ一人の方が楽だと思っているかもしれない。

普通、この場面を見て心配するのはメンタルヘルスだろう。ところが英国の長期追跡研究が示したのは、その6年後の「働く・学ぶ」にまでつながる可能性だった。

研究は、英国で1994〜95年に生まれた2,232人を追跡したE-Risk Longitudinal Twin Studyを使い、12歳時点の孤独感と社会的孤立を分けて測定した。18歳では、教育歴、就業準備度、NEET(就学・就労・職業訓練のいずれにも属さない状態)などを調べた。

最も社会的に孤立していた子どもは、そうでない子どもより18歳でNEETになるオッズが約2.4倍だった。しかも研究では、幼少期の家庭の社会経済状況、メンタルヘルス、性別などを考慮しても、社会的孤立とその後の経済的な不利との関連が残った。

孤独と孤立は、同じではない

ここで重要なのは、「寂しい子」を調べた研究ではないことだ。

孤独感は主観だ。「もっと人とつながりたいのに、つながれていない」と感じること。一方、社会的孤立は、実際に友人や交流が少ないという客観的な状態に近い。

友達が多くても孤独な人はいる。逆に、一人で過ごす時間が多くても孤独を感じない人もいる。研究ではこの二つを別々に測った。

12歳時点では、上位約1割を基準にすると、社会的に孤立していた参加者は12.1%、孤独に分類された参加者は11.3%だった。両方に当てはまったのは3.8%。つまり「孤独」と「孤立」はかなり重なるものの、同じ集団ではない。

そして18歳の経済的な結果を見ると、孤立は教育到達度、就業準備度、本人が感じる社会的地位、NEETなどと関連していた。研究者らは、若者の就業問題をスキルや成績だけで見ると、この「人とのつながり」という入口を見落とす可能性があると指摘する。

「寂しければ、人を求める」は起きなかった

ここまでは、「友人関係が少ない子ほど、その後も苦労しやすい」という話に見える。ある程度は予想できる。

第二の驚きは、その孤立から抜け出す仕組みについてだ。

心理学には、孤独感を空腹のような警報として考える見方がある。お腹が空けば食べ物を探すように、寂しさを感じれば人とのつながりを求める。その考えが正しければ、同じように孤立している子でも「寂しい」と感じた子の方が、その後は人間関係を回復しやすいはずだ。

研究チームは実際に、12歳で社会的に孤立していた子どものうち、孤独を感じていた子と感じていなかった子を比較した。

しかし、18歳時点の孤立に明確な差は出なかった。12歳で孤立し、かつ孤独を感じていた子も、孤独を感じていなかった子と同じように、その後も高い孤立を経験していた。

「寂しいと気づけば、自分から友達を作るだろう」という自然な回復は、このデータでは確認できなかった。

孤独を感じない孤立も、見逃せない

この結果は、支援の見方を少し変える。

本人が「寂しい」と訴えるまで待つと、社会的に孤立しているのに困っている自覚が弱い子を見逃すかもしれない。逆に、孤独を強く感じているからといって、それが自動的に再接続への行動になるとも限らない。

研究者は理由を断定していない。孤独を感じた若者がさらに引きこもる場合もあれば、人とつながろうとしても、不安や対人関係の難しさによってうまくいかない場合も考えられる。

さらに論文では、孤独と孤立が同時にあるからといって、すべての結果が単純に二重に悪化するわけでもなかった。一部の分析では「飽和」のようなパターンが見られ、孤独がすでに強い若者では、孤立の程度が増えても18歳時点の結果がさらに大きく悪化するとは限らなかった。

人間関係の問題は、「友達の数」と「本人の寂しさ」を足せば測れるほど単純ではない。

英国は若者の仕事に巨額を投じる。でも入口は履歴書より前にある

英国では若者のNEETが大きな政策課題になっている。政府は若者の雇用や職業訓練を増やす政策を進め、技能、就業機会、企業との接点に資金を投じている。

もちろん、仕事を得るには技能も求人も必要だ。この研究は「友達を増やせばNEETが解決する」と証明したものではない。観察研究なので、社会的孤立そのものがNEETを引き起こしたと断定することもできない。対象は英国の双生児コホートで、参加者の90%が白人だったという限界もある。

それでも、学校やユースサービスが見られるサインは興味深い。履歴書を書く何年も前、12歳の昼休みに誰と過ごしているか。グループ活動に入れているか。相談できる同年代がいるか。

試験結果や職歴に問題が現れる前に、人との接続が弱くなっていることがある。就職支援を18歳から始めるだけでは、遅いケースがあるのかもしれない。

「働けない若者」の前に、「つながれていない子ども」がいる

若者が仕事にも学校にもいないとき、社会は原因を本人のスキル、意欲、家庭環境、景気、求人の少なさに探しがちだ。どれも重要だが、それだけではない可能性がある。

12歳の社会的孤立と18歳のNEETが関連し、しかも孤独を感じること自体が孤立からの自然な回復につながらなかった。この二つを並べると、若者政策の時間軸が変わって見える。

「就職できるようになってから社会につながる」のではなく、「社会につながっていることが、学びや仕事へ移る土台の一つかもしれない」。

世界保健機関も社会的つながりを健康の問題として扱っている。しかし、つながりが教育や仕事の入口にも関係するなら、それは保健政策だけの話ではない。

最後に残る問いは、NEETになった18歳をどう就職させるか、だけではない。

まだ12歳で、成績にも履歴書にも問題が現れていない段階で、誰が「一人になり続けている子」に気づくのか。若者の雇用政策は、思っているよりずっと早く始まるのかもしれない。

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