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2026年9月23日 · 約5分

「働いていない若者=支援が必要」とは限らない。英国で30万人の“見えないNEET”が見つかった。

福祉制度からこぼれ落ちた若者は、最も困っている——そう思いがちだ。ところが英国の最新分析では、給付を受けないNEETの多くは高学歴で、仕事を探し、家族に支えられていた。問題は別の場所にある。

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明るい昼間の自宅で、若者が家族の気配のある中、ノートパソコンで求人を探している様子を象徴する写真

福祉制度からこぼれ落ちた若者は、最も困っている——そう思いがちだ。ところが英国の最新分析では、給付を受けないNEETの多くは高学歴で、仕事を探し、家族に支えられていた。問題は別の場所にある。

30万人が、制度から「見えない」

英国のInstitute for Fiscal Studies(IFS)が2026年9月3日に公表した分析は、若者の失業問題に少し意外な姿を映し出した。

2025年末、英国(Great Britain)には18〜24歳のNEETが約87万人いた。そのうち約32万人は失業関連の給付を受けておらず、IFSはほぼ30万人がどの給付も受けていない「hidden NEETs」だと推計した。

給付を申請していないため、雇用支援を担うDepartment for Work and Pensionsは彼らの連絡先や状況を基本的に把握できない。政府の就労支援も給付受給期間を入口にするものがあり、制度上「見えない」若者が生まれる。

ここだけ聞けば、「支援にたどり着けない、特に深刻な若者が30万人いる」と想像するかもしれない。実際、政策議論でもhidden NEETsは「制度の隙間から落ちた若者」として注目されてきた。

だが、IFSが22〜23歳の追跡データを詳しく見ると、そのイメージはかなり違っていた。

54%が大卒。74%は仕事を探していた

hidden NEETsの74%は積極的に仕事を探していた。4%はボランティアをしており、少なくとも4%は大学を出た直後など一時的な移行期にいた。合わせると、少なくとも82%は就職活動、ボランティア、短期的な移行のいずれかに当てはまる。

さらに57%は、仕事を離れてから6か月未満だった。給付を受けるNEETで6か月未満なのは16%にとどまる。

学歴にも大きな差がある。hidden NEETsの54%は学位を持っていた。これは就業・就学・訓練中の若者と近い水準で、給付を受けるNEETの12%を大きく上回る。

健康面でも、障害、健康状態の悪さ、メンタルヘルスの問題を報告する割合は、給付を受けるNEETよりおおむね低かった。

つまり「制度から見えない=最も就職から遠い」とは限らなかった。むしろ多くは、労働市場に比較的近い場所にいた。

なぜ給付なしで生活できるのか。答えは「家族」だった

では、収入がないのに、なぜ給付を受けずに暮らせるのか。

大きな答えが家族だ。hidden NEETsの5人に4人は親と同居していた。単身で暮らす人でも、約3分の1は家族から生活費を受け取っていた。

家庭の経済状況も、給付を受けるNEETとは大きく異なる。hidden NEETsの37%は世帯所得上位3分の1の家庭出身で、下位3分の1は30%。一方、給付を受けるNEETでは上位3分の1が6%、下位3分の1が72%だった。

その結果、給付収入がなくても「家計管理が非常に難しい」と答えたhidden NEETsは7%で、給付を受けるNEETの12%より低かった。

ここに、このニュースの一番面白い構造がある。

福祉制度につながっていない若者が、必ずしも一番困窮しているわけではない。制度の外側には、親の家、食事、生活費という「家族のセーフティネット」が存在する。

逆に言えば、同じ「仕事がない」という状態でも、家族の資源によって待てる時間が違う。良い仕事を探し続けられる人と、すぐに収入を得なければならない人では、NEETという同じ統計ラベルの内側に全く違う生活がある。

だから「30万人全員を追跡すれば解決」でもない

ここでIFSは、さらに直感に反する結論を出している。

hidden NEETs全員を全国データベースで特定し、大規模に追跡することには「限られたリターンしかない可能性がある」という。多くは政府の介入がなくても就職へ移る可能性が高いからだ。

ただし、放置してよいという意味ではない。

22〜23歳のhidden NEETsのうち19%は18か月以上、43%は6か月以上仕事から離れていた。英国のYouth Guaranteeに含まれる一部の就労施策は、失業期間だけでなく「給付を何か月受けているか」を参加条件にする。そのため、長く仕事がなく支援が必要でも、給付を申請していないだけで対象外になる若者がいる。

IFSは、就労支援を給付受給の有無にかかわらず開くことには理由があると指摘する。一方で、対象を広げれば財政コストが増え、誰にどう案内するかという実務上の問題も残る。

「全員を探し出して支援する」か「何もしない」かの二択ではない。必要性の高い人へ、給付申請とは別の入口から支援を届けられるかが論点になる。

NEETという一語では、若者の現在地は分からない

英国政府も別の「見えない若者」を問題にしている。2026年7月には、自治体が進路状況を把握できていない16〜17歳が3万2,100人いるとして、自治体のデータ連携を強化する方針を示した。

ただし、この「Phantom NEETs」とIFSのhidden NEETsは同じ集団ではない。前者は自治体が教育・就業状況を把握できない16〜17歳、後者は18〜24歳を中心に、NEETだが給付を受けていない若者を指す。似た言葉でも、問題の中身は違う。

今回のIFS分析が教えるのは、NEETという数字だけでは若者の困難を測れないということだ。

大学を出たばかりで親元から就活している人。健康上の理由で働けない人。長期失業しているのに制度と接点がない人。同じ「就業も就学もしていない」に分類されても、必要な支援は全く違う。

「支援につながっていない人ほど困っている」という直感も、「高学歴で家族に支えられているなら問題ない」という見方も、どちらも単純すぎる。

大切なのは、ラベルではなく、その人がなぜ今そこにいて、次へ進むために何が足りないのかを見ることだ。

世界は、そんなに単純じゃない。

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